研究開発調査の成果と概要
新規需要拡大に関するテーマ
アルコールの冷媒・蓄冷剤への応用技術に関する研究開発(H7~H11)

1 研究開発の概要

1-1.研究開発の目的

エタノ-ルを利用した冷媒・蓄冷剤を開発するとともに、このエタノ-ル冷媒・蓄冷剤の冷却・蓄冷システムへの応用技術を開発し、エタノールの新規需要開拓を図るものである。

1-2. 研究開発成果の概要

①エタノ-ル冷媒・蓄冷剤の開発

ア.エタノ-ル冷媒・蓄冷剤に関するデ-タの整備

冷媒・蓄冷剤として必要な物性等をエタノ-ル水溶液、エタノ-ル組成物(エタノールに変性剤、防錆剤を添加したもので、以下「エタノールブライン」ともいう)について、比熱、熱伝導率、電気伝導度、粘度、凍結温度、密度等の測定を行った。得られたデータは、測定精度も良く、エンジニアリングデ-タとして利用できるデ-タ整備を図った。

イ.エタノ-ル冷媒・蓄冷剤に適した冷却・蓄冷システムへの適応性の検討

エタノ-ル濃度が30%、59%、80%のエタノールブラインを実機試験機で評価し、冷媒・蓄冷剤として冷却・蓄冷システムへの適応性には問題無いことが確認できた。

ウ.エタノール冷媒・蓄冷剤の性能高度化に関する研究

濃度80%の未変性、変性エタノ-ルの腐食試験で防食剤の添加が不可欠である結果をもとに冷媒・蓄冷剤としての使用条件を考慮した防食剤を組合わせて良好な防食性を有するエタノールブライン(濃度 30%、59%、80%)を、実機試験機による評価で開発した冷媒・蓄冷剤は十分高度な性能を有しているものであることが確認できた。

②エタノ-ル冷媒・蓄冷剤に適した冷却・蓄冷システムの開発

濃度59%、80%のエタノールブラインを低温での顕熱利用システムでは、実機試験機運転では性能、機器への影響は問題無いことが確認できた。
濃度30%のエタノールブラインを用いて氷スラリ-を含む低温での顕熱・潜熱利用システムで実用規模での蓄熱・搬送の運転で評価・検討し蓄熱システムの開発につながる成果を得ることができた。

③安全性・経済性の検討

ア.安全性

市販のエタノールガスセンサ-を評価し、エタノールを冷媒・蓄冷剤とし て使用するときの使用指針を作成した。
エタノールブラインは、濃度により危険物、非危険物扱いとなるが、通常の漏洩対策を取ることで問題なく十分使用出来ることが確認できた。

イ.経済性

実機装置での評価により、冷媒(顕熱利用)、蓄冷剤(顕熱・潜熱利用)で、低温での粘度が低いこと等の特性から他の冷媒等に経済的に十分競合できるもので有ることが確認された。
アルコールの用途開発を図ると共に,環境保全を図るため,アルコールの優れた低温物性,人体及び環境に対する安全性を利用したアルコール冷媒・蓄冷剤の開発を行っている.アルコール冷媒・蓄冷剤に適した変性剤・防錆剤,蓄冷システム,安全対策について検討中.

Ⅱ 物性データ

エタノールブラインの組成,物性測定方法,エタノールブラインの密度・比熱・熱伝導率・粘度・凍結温度

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